BCP(Business Continuity Planning)とは、「災害やテロ、システム障害などの緊急事態に備えて、事業の継続や早期復旧を図るための計画」と表されます。
政府機関をはじめとする、様々なメディアにおいても時折目にするようになったBCP(事業継続計画)というキーワード。
一般には、「災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画」と表され、緊急事態については「災害やテロ、システム障害などの緊急事態」と表されることもあり、少し大げさであり、そうもなると何も施しようがないと諦めがちであるが、身近なところで起こりえる緊急事態に目を向けてみると、その原因と対策についての答えは、少し手の届くところにあるように思います。
知らず知らずのうちに、便利なインターネットという、電気的に繋がった通信システム上で機能しているスマートフォン(スマホ)、タブレット型端末やパソコン(PC)。そして、クラウド・サービス(Cloud)やSaaSと呼ばれる、インターネット上で提供されるサービスを利用することで、容易に事業の仕組みを構築し、新しいビジネスを始めやすくなっていることも確かではあるが、通信回線、インターネット、あるいは電気そのものが利用できなくなると、私たちの生活と共に、全く事業そのものが停止してしまうという状況の隣にいつの間に立たされていると言っても過言ではないかと。
記憶に新しいトラブルであれば、2024年7月18日(米国現地時間)に突然起きた、世界各地でインターネットに繋がったWindows PCの画面が青い画面表示となり、航空券の発券・搭乗手続きのシステムをはじめとする、数々のオンラインが利用できなくなってしまったという全世界規模で発生した、セキュリティ製品のアップデートファイルを起因とする大規模障害があります。
また、2023年には日本国内の大手通信キャリアのネットワークが停止してしまい、スマホからの通話もネットサービスも利用することができなくなったというトラブルに直面された方も多いかと思います。
いずれの場合も長くとも1日以内での復旧に至ったが、その間に、便利なネットというものが利用出来なくなり、その間の事業の継続に支障を来したことは確かである。
もう少し、細かい事象であると、2025年2月7日には、ネット上のサービスを安全に利用する仕組みとして提供されているシングル・サイン・オン(SSO:Single Sign On)と呼ばれるサービスを提供するOneLoginサービスが数時間であるが停止したことで、その間、見えないところでこのサービスを利用していたオンラインサービスは利用することができなくなりました。
いつの間にか便利に繋がったネット上に構築されたサービスを利用することで、日々常に何処かで起こっているのが「緊急事態」なのです。
今さら、全てをネットを利用しない生活や事業に戻ることはできないのも現実ですが、実効性のある事業継続計画の実現については、個人や中小企業、そしてこれから事業を興す・起こしたばかりのスタートアップ企業であるが故のメリットも多いと考えます。
既に大きくなった組織全体に事業継続計画の必要性を啓蒙し、既に大きく動いている事業を事業継続計画の基に再構築したり、必要な設備を整えることは非現実的な面もある為、ついつい疎かになってしまったり、形だけの事業継続計画になってしまっているのが現実であったりします。
一方で、目先を変えると小さな組織や事業の計画中や始まって間もない場合であれば、ステークホルダー(利害関係者)も少なく、実行に移しやすいものです。
具体的に直ぐにでもできる方法としては、
・クラウド・サービスで利用しているデータ等をローカル(自分の手元)にコピーし、バックアップして保存しておく(クラウド・サービスも万全でない場合がありますので、思わぬトラブルの際に、バックアップしておいたデータが約に立つ場合もあるものです)実際に、 東日本大震災にて事務所が大きな被害に遭われた企業の中には、日ごろ実施していたデータのバックアップのおかげで事業を比較的速やかに再開することができたという事例もあったと聞き及んでいます。
もう一つの、キーワードとしてLCP(Life Continuity Planning)というものがあります。こちらは、緊急事態に備えた生活の継続を図る計画(Planning)になります。
すなわち、事業と生活という対象が異なる活動に対して求められる、緊急事態に備えた継続や早期復旧を図るための計画であることには変わりはありません。
毎年、日本各地で発生する自然災害も相まって、この二つのキーワードに注目が集まりつつあるが、定義されているものは計画でしかなく、重要なのは、その計画が実行可能なものであるか、緊急事態後に通常とまではいかなくとも継続することが可能な備えが(備えではなく影響を受けない仕組みが求められる)できているか?という点であるように思います。

事業と生活、どちらも経済と繋がり、その経済も生活も便利なネットに繋がれた元でしか成り立たなくなりつつある今、これからも持続可能な社会の構築に向けて、今の生活・事業そのものを見直しながら、日々ゆっくりとでも不測の事態に備えた取り組みを一つ一つ実行に移す必要があると毎年日本国内で発生する災害、食に関する騒動を目の当たりにするにつけ考えさせられる今日この頃です。
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